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デビルズ・タワーはどうできた?巨大な柱状節理と未解決の成因

夕映えのデビルズ・タワー謎解き 奇妙な地形・地質

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デビルズ・タワー|大地から突き出す石の柱は、火山の残骸なのか

アメリカ合衆国(United States of America)のワイオミング州(Wyoming)。草原と丘陵の向こうに、周囲の地形からひときわ高く立ち上がる岩の塔がある。表面には、頂上から麓へ向かって無数の縦筋が走る。遠目には誰かが巨大な柱を束ねて立てたようにも見える。

デビルズ・タワー(Devils Tower)だ。基部から頂上までの高さは約264メートル。岩の正体は分かっている。それなのに、もともと地下でどのような形をしていたのかとなると、今も研究者の見解は一つに定まっていない。

この塔の不思議さは、見えている部分だけでは語れない。むしろ、失われた周囲の岩石に目を向けると、その姿ができた理由が少しずつ見えてくる。

ワイオミング州の草原と森林の上にそびえるデビルズ・タワー全景
ワイオミング州北東部にそびえるデビルズ・タワー。周囲の堆積岩が侵食され、比較的侵食に強い火成岩体が残った。
写真:Devils Tower – Wyoming.jpg/提供:U.S. Geological Survey/Public Domain・USGS利用方針

石の塔は、最初から地上に立っていたわけではない

デビルズ・タワーは、ワイオミング州北東部のブラックヒルズ(Black Hills)地域に位置する。塔の頂上の標高は約1,558メートル。近くのベル・フーシュ川(Belle Fourche River)から測れば、約386メートルも高い。

しかし、この高さは、地下から巨大な塔がそのまま押し出されたことを意味しない。
塔を構成するのは、フォノライト斑岩(phonolite porphyry)という火成岩だ。約5,000万年前、マグマが上昇し、冷えて固まったことに由来する。2015年の研究で引用された放射年代測定値は約4,904万年前(誤差約16万年)。長い地質時代の中では、ほぼ同じ時期を指している。

当時、岩体は現在の地表よりはるか下にあったと考えられている。周囲には砂岩や頁岩などの堆積岩が重なっていた。やがて雨水や川の流れがそれらを削り、削られにくい火成岩が取り残された。現在の塔は、新しく盛り上がったものというより、周りの地面が失われたことで姿を現した岩体なのである。

米国国立公園局(National Park Service)によれば、塔が侵食によって露出し始めたのは約500万~1,000万年前と考えられている。約5,000万年前にできた岩石が、形成直後からずっと現在のような塔として地表に立っていたわけではない。

縦の筋は、巨大な岩が冷えるときに生まれた

塔の表面を特徴づけるのは、上から下へ続く柱のような割れ目だ。これを**柱状節理(columnar jointing)**という。

熱いマグマが冷えて固まると、岩石は収縮する。そのとき内部に生じた亀裂が伸び、岩を多角柱の集まりのように分けることがある。六角形の柱がよく知られるが、デビルズ・タワーには五角形をはじめ不規則な形も見られる。

デビルズ・タワーの岩壁に発達した縦方向の柱状節理
塔を縦に区切る柱状節理。マグマが冷えて収縮する過程で形成された亀裂で、大きな柱は幅約3メートルに達する。
写真:Porphyritic phonolite (Eocene, 49 Ma; Devils Tower, northeastern Wyoming, USA) 2.jpg/作者:James St. John/ライセンス:CC BY 2.0

柱の幅は大きいもので約3メートルにも達する。人間が刻んだ溝ではなく、岩そのものが冷却の過程で割れた境界なのだ。国立公園局は、デビルズ・タワーを世界最大の柱状節理の例として紹介している。

とはいえ、塔の柱が永遠に崩れないわけではない。麓を取り巻く大きな岩塊の堆積は、長い時間の中で柱の一部が剥がれ落ちてきたことを物語る。周囲を削った侵食は、今も塔そのものに働いている。

デビルズ・タワーの基部に堆積する崩落した柱状岩塊
塔の基部に積み重なる落下岩塊。柱状節理に沿って剥離・崩落した岩石が麓に残っている。
写真:Devils tower fallenpillars.jpg/作者:Ritosito/ライセンス:CC BY 3.0

「火山の芯」なのか――まだ決着していない誕生の形

「マグマが固まった岩なら、昔の火山が残ったのでは?」。そう考えるのは自然だろう。

実際、デビルズ・タワーにはいくつもの成因説がある。地下に入り込んだ小規模なマグマの塊である**ストック(stock)が露出したという説。地層の間でマグマが盛り上がったラコリス(laccolith)の残骸という説。火山の通路を塞いだ岩体、つまり火山頸(volcanic neck)・火山栓(volcanic plug)**だったという説もある。

火山頸・火山栓説で問題になるのは、かつて周囲にあったはずの溶岩流や火山灰などが明瞭には残っていないことだ。ただし、長い侵食によって消えた可能性もあり、それだけで否定はできない。

さらに2015年、研究者たちは別の形成過程を提案した。マグマと地下水の相互作用による爆発で、**マール=ダイアトリーム火山(maar-diatreme volcano)**と呼ばれる火山構造が形成され、その火口内部にフォノライト質の溶岩体ができた、という仮説である。研究では、周辺の岩石や構造を調べ、アナログ実験や熱数値モデルなども使って検討した。

ただし、これで謎が解けたわけではない。これは複数ある説明のうちの一つであり、著者たちも仮説として提示している。国立公園局も、デビルズ・タワーを単純に「古い火山」とは説明していない。

何の岩石で、どのように冷え、なぜ露出したのかは比較的よく分かる。けれども、その岩石が冷えた当時の地下・火山構造がどんな形だったかは未解決。この二つを区別することが、デビルズ・タワーの地質を理解する鍵になる。

「悪魔の塔」より古くからあった、熊の名

デビルズ・タワーには、地質の歴史とは別に、長く受け継がれてきた人びとの歴史がある。

ラコタ(Lakota)、シャイアン(Cheyenne)、カイオワ(Kiowa)、クロウ(Crow)、アラパホ(Arapaho)、ショショーニ(Shoshone)など、この地と関係を持つ先住民共同体は多数にのぼる。塔に結びつく呼称の中には、「熊のすみか」「熊の家」に相当するものがある。1857年の地図にも、英語で「熊のすみか」を意味するベア・ロッジ(Bear Lodge)系の名前が記されていた。

国立公園局が紹介する複数の口承には、熊と塔の縦溝を結びつける物語がある。たとえば、熊に追われた人びとを岩が高く持ち上げ、熊が爪で岩肌をかいた、という筋立てが知られる。ただし、語り方や意味は共同体によって異なる。一つの物語を、すべての先住民に共通する「唯一の伝説」として扱うことはできない。

地質学では縦溝を冷却収縮による亀裂と説明する。一方、熊をめぐる物語は、土地に結びついた文化や信仰、世代を超えた記憶の一部である。両者は同じ種類の説明を競い合っているわけではない。

今も塔の周囲では宗教的な儀礼が営まれている。木に結ばれた祈りの布や束は、その現在進行形の営みを示すものだ。国立公園局は、訪問者にそれらへ触れたり、乱したり、撮影したりしないよう求めている。

なぜ「悪魔」という名前になったのか

現在の名称が広まる転機は、19世紀後半にあった。

1875年、アメリカ陸軍のリチャード・アーヴィング・ドッジ(Richard Irving Dodge)は、この場所の名称を「悪い神の塔」に相当する表現として記録した。その後、「デビルズ・タワー」という呼び名が一般化していく。

しかし、国立公園局によれば、関係する先住民が本来この場所を「悪魔」や「悪い神」と呼んでいたと裏付ける別の記録は見つかっていない。聞き違いや翻訳の問題だったのか、意図的な改称だったのか、経緯は確定していない。

このため、現在も名称変更をめぐる議論がある。多くの関係先住民にとって「Devils」という語は聖地の呼称として受け入れがたい。一方で、既存の名称を維持したいという意見も存在する。2026年時点で、公式の国定記念物(National Monument)名は「デビルズ・タワー」のままだ。

名称の問題は、単に看板の言葉をどうするかという話ではない。誰がこの土地に名前を付け、その名前が公的な地図に残ったのかを問い直す問題でもある。

人びとはこの塔に登り、塔を守ろうとしてきた

この特異な岩体は、アメリカの自然保護史でも重要な場所になった。1906年9月24日、セオドア・ルーズベルト(Theodore Roosevelt)大統領が、古物保存法(Antiquities Act of 1906)に基づいてデビルズ・タワーを国定記念物に指定した。これは同法に基づいて指定された、アメリカ最初の国定記念物だった。

その少し前の1893年には、地元の牧場主ウィリアム・ロジャース(William Rogers)とウィラード・リプリー(Willard Ripley)が、岩の割れ目に木杭を打ち込み、板を渡した長大な梯子を築いた。リプリーは梯子の建設中に頂上へ到達し、7月4日の公開行事ではロジャースが群衆の前で登頂した。国立公園局は、この2人を最初の記録された登頂者としている。梯子の上部の一部は、現在も岩壁に残っている。

さらに1941年には、プロのパラシュート降下者ジョージ・ホプキンス(George Hopkins)が塔の頂上への着地に成功しながら、下りる手段を失って6日間取り残された。下山用に投下されたロープが手の届かない場所へ落ち、最終的には登攀隊が頂上まで登って救出した。登るだけでも難しい岩の上に、空から降りてしまったのだ。

現在もロッククライミング(rock climbing)は認められているが、先住民の宗教的な行事を尊重するため、毎年6月には自主的な登攀自粛が呼びかけられる。ここは登攀の舞台であると同時に、現在も大切にされている聖地なのである。

巨大な柱が語るのは、残った岩と消えた岩の歴史

デビルズ・タワーの姿は、奇妙なほどくっきりしている。だが、その輪郭を形づくったのは、そこにある岩石だけではない。

約5,000万年前に冷えた岩体。内部に走った柱状の割れ目。そして何千万年もかけて周囲から運び去られた堆積岩。私たちが「塔」と呼んでいるのは、その長い引き算の結果だ。

誕生時の地下構造には、なお答えの出ていない問いが残る。そして、岩をどう呼び、どう向き合ってきたのかにも、一つではない歴史がある。

デビルズ・タワーを見上げることは、地面の上に立つ一つの巨大な岩を見ることにとどまらない。消えた地層と、今も続く人びとの関係を同時に考えることでもある。

参考資料・出典

  1. 米国国立公園局(NPS)「How the Tower Formed」― 岩質、柱状節理、侵食、成因説。
  2. 米国国立公園局「Frequently Asked Questions」― 高さ・標高・年代・火山に関する説明。
  3. 米国地質調査所(USGS)「Geology of Devils Tower National Monument, Wyoming」(1956年)― 地質調査。
  4. Závadaほか「Devils Tower (Wyoming, USA): A lava coulée emplaced into a maar-diatreme volcano?」『Geosphere』11巻2号、2015年、354–375頁 ― 成因仮説と年代。
  5. 米国国立公園局「About the Name」― 呼称と命名の歴史。
  6. 米国国立公園局「First Stories」― 先住民の口承。
  7. 米国国立公園局「American Indians」「A Place of Reverence for Native Americans」― 文化的関係と儀礼。
  8. 米国国立公園局「Proposals to Change the Name」― 改称をめぐる議論。
  9. 米国国立公園局「2026 Superintendent’s Compendium」― 2026年の公式名称・管理規則。
  10. 米国政府「Proclamation No. 658」(1906年)― 国定記念物指定。
  11. 米国国立公園局「Rogers & Ripley Stake Ladder」「Parachutist George Hopkins」― 登頂史と1941年の救出。
  12. 米国国立公園局「Climbing Information」― 6月の自主的登攀自粛。

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